第3巻388番歌はこちらにまとめました。
第3巻 388番歌
巻 | 第3巻 |
歌番号 | 388番歌 |
作者 | 作者不詳 |
題詞 | 羈旅歌一首[并短歌] |
原文 | 海若者 霊寸物香 淡路嶋 中尓立置而 白浪乎 伊与尓廻之 座待月 開乃門従者 暮去者 塩乎令満 明去者 塩乎令于 塩左為能 浪乎恐美 淡路嶋 礒隠居而 何時鴨 此夜乃将明跡<侍>従尓 寐乃不勝宿者 瀧上乃 淺野之雉 開去歳 立動良之 率兒等 安倍而榜出牟 尓波母之頭氣師 |
訓読 | 海神は くすしきものか 淡路島 中に立て置きて 白波を 伊予に廻らし 居待月 明石の門ゆは 夕されば 潮を満たしめ 明けされば 潮を干しむ 潮騒の 波を畏み 淡路島 礒隠り居て いつしかも この夜の明けむと さもらふに 寐の寝かてねば 滝の上の 浅野の雉 明けぬとし 立ち騒くらし いざ子ども あへて漕ぎ出む 庭も静けし |
かな | わたつみは くすしきものか あはぢしま なかにたておきて しらなみを いよにめぐらし ゐまちづき あかしのとゆは ゆふされば しほをみたしめ あけされば しほをひしむ しほさゐの なみをかしこみ あはぢしま いそがくりゐて いつしかも このよのあけむと さもらふに いのねかてねば たきのうへの あさののきぎし あけぬとし たちさわくらし いざこども あへてこぎでむ にはもしづけし |
英語(ローマ字) | WATATSUMIHA KUSUSHIKIMONOKA AHADISHIMA NAKANITATEOKITE SHIRANAMIWO IYONIMEGURASHI ゐMACHIDUKI AKASHINOTOYUHA YUFUSAREBA SHIHOWOMITASHIME AKESAREBA SHIHOWOHISHIMU SHIHOSAゐNO NAMIWOKASHIKOMI AHADISHIMA ISOGAKURIゐTE ITSUSHIKAMO KONOYONOAKEMUTO SAMORAFUNI INONEKATENEBA TAKINOUHENO ASANONOKIGISHI AKENUTOSHI TACHISAWAKURASHI IZAKODOMO AHETEKOGIDEMU NIHAMOSHIDUKESHI |
訳 | 海神は霊妙なものよなあ。淡路島を海中に置いて、白波を四国の伊予の方までめぐらせた。月の出を待って夕方には明石海峡から潮が満ちて来、明けてくる頃になると潮が引いてゆく。この波の潮騒が恐ろしくて、淡路島の磯の陰に身を潜め、いつになったらこの夜が明けるだろうと待っている。寝るに寝られなくて待っていると、滝の上の浅野の雉が、夜が明けてきたよと立ち騒ぎ出した。さあ、一同、漕ぎ出そうではないか。海面も静かだし。 |
左注 | (右歌若宮年魚麻呂誦之 但未審作者) |
校異 | 短歌 [西] 短謌 / 待 侍 [細] |
用語 | 雑歌、、羈旅、伝誦、若年魚麻呂、明石海峡、兵庫、地名、動物 |